家の温熱環境が
人に与える影響
温熱環境を整える
PROBLEM温度湿度は住む人の体調に深く関わる
「温熱環境」…。やや難しく聞こえますが、家の設計を考えるうえでとても要素。健康で、快適に暮らすための家づくりには欠かせません。温熱環境とは「暑さ・寒さを感じない快適な温度や湿度を保った空間」を指します。研究では、人がストレスなく過ごしやすいと感じる温度は、冬が19度~23度、夏は25度~28度と言われています。しかし、これも湿度や空気の流れ、さらに明るさによって変わるもので、数値だけを設定しても安定した温熱環境を保つことはできません。例えば、同じ室温でも湿度が上がれば暑く感じます。できることなら季節を問わず湿度50%前後が理想。また、足元と頭上の温度差が3℃を超えないようにすることも重要です。これを超えると人は不快感を覚えるばかりか、身体の体温調整機能に影響するため体調を崩しやすくなると言われています。また、光の色合いや明るさなども体感に影響を与えます。こうした人が身体で感じる快適性をどうやってつくり出し維持していけばいいのでしょうか。
SOLUTION地熱利用の室温管理
それには「換気」「断熱」「彩光」の融合が必要です。しかし、「換気」と「断熱」は時に対立するもの。だからこそ設計によるコントロールが求められるのです。つまり、換気するため窓を開ければ寒風や熱風が入ってきます。また、梅雨の時期には窓を開けただけで湿度が上がり室内がジメジメします。一方、断熱するためには屋外と室内を遮断し密閉空間を作り出す必要があり、換気が難しくなります。そうした問題を解決するため、多くは「エアコン」に頼った家づくりをしてきました。光熱費をかけてでも、強制的に温度や湿度をコントロールするという方法です。しかし、一年中ほとんど変化しない「地熱」と「卓越風」を最大限利用すれば、わずかな光熱費で望ましい温熱環境を手に入れることができます。 地中の温度は季節を問わず安定しており、17度前後に保たれています。夏は冷たく、冬は暖かく感じる温度です。これを建物の基礎を通じて地下から誘導。ファンを通して室内に循環させます。1階と2階に、各1機ずつエアコンを設置し年中稼働しておけば、快適環境が実現します。最小限の窓の開け閉めで換気も可能です。さらにエアコンを脱衣所に設けることで冬場にたいへん危険なヒートショックの予防に役立ちます。